Gunosy 木村 新司

グノシル Special Interview 

木村新司/代表取締役会長 グループ最高経営責任者

こんにちは!広報の鈴木です。今回のインタビューは代表取締役会長の木村さんです。活動拠点をシンガポールに置く木村さん。シンガポールと日本の2拠点を行き来しながら最高責任者としてGunosyグループの舵取りに取り組んでいらっしゃいます。

今回はそんな木村さんに、創業から10年間の情報キュレーションアプリ「グノシー」の歩みを振り返りつつ、メディア事業のこれからの10年をどういった組織で切り拓いていくべきか語っていただきました。ぜひご一読ください!

(注:以降文中 Gunosy=株式会社Gunosy、グノシー=情報キュレーションアプリ「グノシー」を指します)

Gunosy 木村 新司

新しいスタンダードを創ってきた10年

創業からの10年、グノシーというニュースアプリは「情報を世界中の人に最適に届ける」というミッションに則りパーソナライズにひたすら徹してきた期間でした。

ここまでパーソナライズに正面から向き合ってきた会社は他にありません。そういう意味で良い取り組みだったといえますね。

サーバのスペックも良くない中、全ユーザーに向けてベクトルを作ってパーソナライズしていくのは技術者として面白かった。大学の研究室でみんながやりたいと思っていたことを、本物のデータを使いながらやりはじめたわけです。

これが技術的にエポックなことだったし、みんな夢中になって取り組んでいました。

またデータに従ってアルゴリズムでコンテンツを組み換え、プロダクト開発や経営にまで落とし込むなど、至るところでデータを駆使した事業運営のパイオニアでもありました。

そもそもニュースアプリのUIとネイティブアドなどの広告をどう融合させていくのか、というリファレンスを作ったのもGunosyだと自負しています。

Gunosy 木村 新司

それまでは広告のフォーマットはおろか売り方も存在していなかったんですね。代理店に対して「こういうフォーマットでこういうタイトルで作ればこれぐらいの広告効果が得られますよ」とお伝えするところからはじめていました。

このように、いろんな新しいことを創っていったのがGunosyという会社の最初の10年だったと結論づけられるでしょう。

その後、テクノロジーが進化してユーザー単位のコンテンツ配信や広告コントロールも可能になります。クラウドの登場でサーバやメモリも簡単に増やせるようになりました。

さまざまなことが実現できるようになっていったのと歩調をあわせるかのように、Gunosyも成長してきたんですね。

Gunosy 木村 新司

定量面だけでなく定性面にも力を入れる

そして次の10年に向けて、アルゴリズムだけではなく、プロダクトもブランドも含めて「変わらないもの」を作っていく必要があると感じています。

そのための“はじめの一歩”として2021年に行動指針をアップデートしました。新しい行動指針『Gunosy Pride』では定量的な側面だけでなく、定性的な部分も重要であるというメッセージを込めています。

中でも「百年クオリティ」が社員の間で一番使われているようです。ものづくりの本質を伝えたくて作ったフレーズが最も浸透しているのはうれしいですね。ポジティブな手応えを感じます。

(過去のGUNOSIRU記事はこちら)

「Gunosy Way」から「Gunosy Pride」へ。社員を巻き込んで生まれ変わった新バリューに込めた思いを、プロセスとともにお話します!

さて、定量から定性というメッセージをニュースアプリに当てはめるとすれば、よりコンテンツの中身を重視するということです。

たとえば手が出しやすい安易なものに飛びついて短期的な数字を追求するのではなく、技術はもちろん思考的にも難く、他の追随を許さないようなテーマに取り組んでアルゴリズムにまとめていく、といったことが挙げられます。

Gunosy 木村 新司

言うまでもありませんがこれからAIによって大量のコンテンツが生み出され、過去にないレベルでの情報爆発が起きるでしょう。そうした時代のメディアには情報最適化と同時に情報をどうまとめてブランディングしていくか、というミッションが生まれると思います。

つまり一つひとつのコンテンツのクオリティとともに、メディア全体としての存在価値が問われるようになるんですね。

そうなるとパーソナライズ一辺倒では難しい。TikTokに代表される拡散モデルのようなアルゴリズムもありますし、UIUXについてもトライ&エラーを重ねて今までとは違う使われ方に対応していく必要もあります。

そこで大切なのは「総合的に取り組む」ということ。みなさん一人ひとりの知恵をひとつにまとめてプロジェクトでやらなければと思っています。それぞれがバラバラに動いても成果に結びつきません。総合的に、チームの力が問われるフェーズになるでしょう。

Gunosy 木村 新司

創造力と総合力で“新しい体験”をつくる

そんなGunosyがいま求めているのは創造性を持った人材です。

この2年間でアルゴリズムをしっかりと手直ししました。マーケティングも変えました。メディアとしての社会的意義を意識するとともに、ニュースアプリとしてあるべき姿を粘り強く追求してきました。

だからこの先は創造性がこれまで以上に必要となってくるのです。ここでいう「創造」とは「想像」でもあります。テクノロジーで何ができるかという創造力と、ユーザーが何を求めているかを考える想像力。片方だけではダメなんですね。

社会が大きく変わりつつあります。AIもどんどん身近なものになり、TikTokのようなサービスも今後ますます増えるでしょう。Gunosyも競合と比べて遜色ないプロダクトに磨き上げてきましたが、それだけでは大きく伸びません。

この変化に向き合うには、さきほどお話した総合力に加えて創造力が不可欠です。すべてを知り尽くしている人たちと、新しいことを次々と発想していく人たち。創造力と総合力のチームワークがこれからのGunosyには欠かせないと思います。

Gunosy 木村 新司 名刺

いまこそもう一度社会にあった新しいフォーマットを定義すべき。これまで新しいものをつくってきたGunosyだからできるはず。私たちが知見と技術をすべて注ぎつつ、創造性にあふれた人の発想を掛け合わせれば、ユーザーに新しい体験を提供できると思うんです。

どんな時代、どんな世の中でもなくならないのがニュースです。であれば、グノシーではどういった届け方をするのか。どんなフォーマットで届けていくのか。新しい体験を定義したい。最も“いま”にフィットした、心地よい届け方を形にしたいんですよね。

ただ情報を機械的に届けるのではなく、善意やポジティブな感情を踏まえた上でいまのニュースサイトにはない温かみのある存在であり続けたい。考え方自体は創業時から変わっていないんですが、手法は時代とともに変わらなきゃいけないと思います。

そのための創造力と総合力。ニュースを届けるという行為を新しいとか古いとかではなくてそのこと自体にプライドを持てる人。どういう届け方をすると社会への伝わり方が変わるかを真剣に考える人。そういう人たちとこの先の10年を創っていきたいと思います。

Gunosy 木村 新司

木村新司/代表取締役会長 グループ最高経営責任者

東京大学理学部物理学科卒業。株式会社ドリームインキュベータ入社後、2007年3月に株式会社アトランティス(現Glossom株式会社)を創業し、2011年にグリー株式会社に売却。2013年に当社代表取締役に就任、2014年退任。2016年6月にはAnyPay株式会社を設立し、2018年5月より同社取締役。2017年8月より当社取締役、2020年6月より代表取締役会長 グループ最高経営責任者に就任。

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https://media-innovation.jp/article/2023/02/27/135490.html

投稿者 OjimaRyo