「GUNOSY AWARD 2027」インタビューシリーズ最終回は、「総合MVP」を受賞した日下田さんです。限られたリソースの中で、最新のAIツール「Claude Code」などを駆使し、分析業務の劇的な自動化を実現した日下田さん。その背景には「単純作業をAIに任せ、人間が本来やるべき『考える仕事』に集中したい」という徹底した合理主義と、AI時代だからこそ気づいた「人間関係」への向き合い方がありました。理想のDXを形に変えていったプロセスと、これからのGunosyで成し遂げたい野望についてお話を聞きました。

驚きと戸惑い、そしてAI活用への確かな手応え

―総合MVP受賞、本当におめでとうございます!GUNOSY AWARDで名前を呼ばれた瞬間の、率直なご感想から教えてください。

嬉しい気持ちはありましたが、メディア側での数値改善など、さらなる成果に向けた課題感もあったため、率直に驚く思いもありました。ただ、会社として「AI活用をしていく」という方針があり、それに沿って自分が進めてきた業務のDX化のプロセスを評価していただけたのかなと思っています。

― この半年間、会社やチームから期待されていたミッションは何でしたか?

元々BI(ビジネスインテリジェンス)の分析業務を担当していたのですが、体制変更等もあり、限られたリソースの中で成果を最大化することが求められる状況になっていました。その中で、自動化によってクオリティを保持しつつ、効率化を進めることが期待されていました。

― 実際に最も大きな成果を出せた、手応えを感じている取り組みについて教えてください。

やはり「分析の自動化」が大きかったですね。クエリを書いて集計し、その結果を資料に起こしたり可視化したりする一連の作業が非常に簡単になりました。自分に分析依頼をしなくても、ある程度知見のある人は自分で分析できるようになり、分析作業に人を割く必要が少なくなったのは大きな成果だと感じています。

プロンプトの工夫は一切なし。強いツールで「考えること」にフォーカスする

― AIを活用したDXを進める上で、特に困難だったことや「転換点」はありましたか?

実は、上期の頃はクエリの自動生成に挑戦していたものの、そのまま実用レベルで使えるものにはならず、やりたいことがあっても労力がかかっていました。しかし、今年の3月頃から「Claude Code」という強力なツールを使えるようになったことが大きな転換点でしたね。使い始めてからは1週間ほどで実用的なクエリが作れるようになり、大きな壁にぶつかることもなく、自分の思うようにスムーズに進むようになりました。

― AIへの指示出し(プロンプト)などで、日下田さん独自の工夫やこだわりはあったのでしょうか?

実は、プロンプトに関しては特別な工夫はしていないんです。「あなたはプロのデータアナリストです」といったロール(役割)を与えるようなプロンプトエンジニアリングは、今の強いモデルでは全く必要ありません。ただ純粋に「強い道具が与えられている」というだけで、分からないことがあればGitの初歩的なことからでも全部AIに聞いて、触りながら自分のものにしていきました。

― AIに任せる部分と、自分でやる部分の線引きはどうされていますか?

AIを使っていると、ドメイン知識が必要な部分など、どうしても不正確になりやすいポイントが自然と分かってきます。そうした部分は自分で考えますし、最初の意思決定や、AIが出した複数の選択肢から決定する作業は人間がやるべき部分です。当然ですが、AIのアウトプットをレビューし、最終的な責任を持つのは人間の役割だと考えています。

AI時代における人間関係の再発見

― 半年間、AI活用を推進し続けることができた熱量や原動力はどこから湧いてくるのでしょうか?

モチベーションとしては、クエリを書いたりConfluenceにまとめたりといった単純作業に時間を取られるのではなく、もっと本質的な業務に時間を使いたいという思いがあったからです。自分が最も高い価値を出すために、AIに任せられるところは徹底的に任せ、自分がやるべきところにフォーカスしたかった。そうした作業を自動化できたことで、自分が本来得意としている「分析結果を見て考え、意思決定をする」という部分に集中できるようになりました。

― この1年間を通じて、ご自身が「最も成長・変化した」と感じている部分はどこですか?

AIを使う中で「どこがAIに置き換えられ、どこが人間の価値なのか」をよく考えたのですが、やはり人間関係の構築など「人間的な部分」はどうしてもAIには代替できないと気づきました。私はもともと積極的にコミュニケーションを取りにいくタイプではなかったのですが、AI時代だからこそ人間関係の構築が必要だと感じ、意識的にオフィスへ出社したり他部署のメンバーとも1on1を増やすようになりました。

― 周囲のチームや他部署に支えられていると実感したエピソードはありますか?

AIで新しい機能を作ったり自動化したりする「作る作業」自体は簡単にできるのですが、そのアウトプットが正しいかどうかを判断するには、元々その業務をやっていたプロフェッショナルの意見が不可欠です。だからこそ、MLチーム、アライアンス、サーバーサイドエンジニア、デザインなど様々な部署の方に1on1のお時間をいただき、現場のリアルな意見をヒアリングしながら慎重に進めました。彼らのサポートなしには実現し得なかったですね。また、MVPが決まる直前にメディア事業本部長の松下さんから「君の頑張りをみんなちゃんと見ているよ」と言われたのは印象に残っています。閉じたところでAI活用をやっていると思っていたので、経営陣も評価してくれていたのは嬉しかったです。

開発サイクルを劇的に早める。一番いいモデルを使ってほしいという全社への願い

― 最後に、今後Gunosyで成し遂げたい次なる野望や意気込みを教えてください。

まずは、メイン事業であるメディア事業の成長をさらに加速させることが今期の大きな課題です。その上で、Gunosy全社の開発サイクルをもっと早めたいですね。施策の立案から開発、チェックまでをLLMの活用で一気に加速させ、世界的なリリーススピードの水準に追いつきたいです。そしてゆくゆくは、AIをフル活用した新規事業(アプリやBtoBサービスなど)にも意欲があります。

― 全社のメンバーへ向けたメッセージがあればお願いします。

とにかく「今一番いいモデル(Claudeなど)をみんな使ってほしい」ということに尽きますね。触ってみれば誰でもすぐに私と同じようなことができるはずです。AIを使っている人と使っていない人でどんどん差が開いていく世の中なので、全社的に最高のモデルを使える環境を整えて、みんなで一緒にAIを活用して成果を出していけたら嬉しいです。

【profile】日下田さん メディア事業本部 グノシー事業部 グノシープロダクトマネジメント

新卒入社5年目。機械学習(ML)の部署を経てBI(ビジネスインテリジェンス)業務を長く担当し、現在はPMG(プロダクトマネジメントグループ)にてアプリの分析業務や企画・施策立案を牽引。社内におけるAI活用のトップランナー。

今日から実践できる、仕事を前に進めるヒント

日下田さんのインタビューから見えてきたのは、「人間が本来やるべき本質的な思考」に時間を割くために、最新ツールを恐れずに使い倒す合理的なスタンスでした。AIという強力な武器を手にしたからこそ、逆説的に「人間同士の対話」の重要性に気づき、自ら周囲を巻き込んでいく姿勢は、これからの働き方の大きなヒントになります。

  1. 分からないことは迷わずAIに聞き、触りながら自分のものにする
  2. AIに任せる「作業」と、人間が責任を持つ「意思決定」を明確に分ける
  3. AI時代だからこそ、他部署へのヒアリングや1on1など「人間関係の構築」を重視する

※撮影場所:WeWork 渋谷スクランブルスクエア

投稿者 gunosiru