こんにちは!広報の鈴木です。10月18日、Gunosyの新規事業「YOU IN」から新たにブランド初の入浴料『MOOD PAIRING BATH awai(あわい)』(以下『awai』)がリリースされました。すでに使ってみたよ!の声も続々と寄せられつつある『awai』。蔦屋書店の一部店舗での取扱いが決まるなど、早くも小売業界からの注目を集めています。
と、いうことで今回は企画段階からリリースまで製品開発を担った菊池さんにマイクを向け『awai』の開発秘話を語っていただきました。なぜ入浴料なのか?なぜ“あわい”なのか?デザインの意図は…などなど開発担当者しか知り得ないエピソード満載です。ぜひご一読ください!
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いまの気分に向き合い、寄り添い、肯定する。ムードペアリングが提案する「機嫌よく生きる」こと。
デスクワーカーの多くは脳疲労である、という事実
-そもそも今回の新製品開発に至る経緯を教えていただけますか?
きっかけは事業戦略ですね。“ムードペアリング”をコンセプトに、まずはティータイムの提案からはじめた「YOU IN」ですが、販売をはじめてわかったのがギフト需要が大きなシェアを占めていることでした。それはもちろんすばらしいのですが、一方でもっとセルフ需要寄りのアイテムもほしいよね、という流れで開発が決まったんです。
-菊池さんはムードペアリングティーの開発や販促には関わっていなかったのですか?
いえ、入社直後から販売データを見てマーケティング要素を強化していました。単価を伸ばすために付加価値をつけたギフトボックスを開発したり、スパークリングティーで新たな需要を喚起したり。でもセルフ需要という面から考えるとプロダクトに大きく起因するので、何か新しいカテゴリは必要だな、とふわっと思っていました。
-入浴料に決まるまでの経緯を教えていただけますか?
最初はいろんな企画が飛び交いましたよ。朝食需要として簡単で腹持ちがよくて栄養バランスにも優れたポン菓子グラノーラとか、寝る前の習慣化を狙ったコーディアルシロップとか。だいたい5つぐらいの方向性でアイディアを練っていったんです。その中でチームの反応が一番良かったのが入浴剤のカテゴリーでした。
いちばんはじめの頃はバスオイルでしたね。お風呂の中で自分の気分をハダカにしませんか?日常はウキウキワクワクばかりじゃなくピリピリトゲトゲだってあるから、あえてネガティブな気分にも寄り添えるよう喜怒哀楽の4種類からお選びいただけます、みたいなコンセプトで。
-面白そうですね!喜と楽ばっかり残って凹んだりして…(笑)
(笑)そうなんです、これがチームの反応はいちばんよくて。でも4種類でワンセットだと単価も上がるしギフトっぽく見えてしまうので、単品に絞って再考しました。そのあとに行き着いたのが「脳疲労」というテーマ。入浴料って一般的には肩こり・腰痛などへの効能のものが多いと思うのですが、自分としては身体の疲労よりも脳の疲労の方が体感があったんですね。
脳疲労に入浴料というアプローチがいいかもと思った理由は、“思考優位”になっている状態からテクスチャーや香りの心地よさで“五感優位”に切り替えられること。また脳疲労には良質な睡眠をとることが大事です。湯船に浸かる温浴なら体内の深部温度をしっかり上げたのち下げるリズムを作れます。それが入眠作用を高めると言われているんです。
これは面白いなと思ってミーティングに出したらまたもや好反応でした。考えてみればGunosyのみなさんはパソコン仕事ばかりだから頭が疲れている。俺もそうだ、私も、みたいに自分ごととして捉えてくれたんですね。もともと「YOU IN」のコンセプトがウェルネスに働きかけるものだったこともあり、脳疲労ならメンタル面からもフィジカル面からもウェルネスに合致するんじゃないか、と。
日本には「あわい(間)」という概念がある
-方向性が決まったらここからは実際の商品化ですね
脳疲労というワードは薬機法で使えないことはわかっていたので、少しでもイメージしやすいように当初は「NO THINK」と命名。もやもや悩んでいる人の横顔のイラストとセットで社内アンケートをかけたのですが、これが票が集まらず。ネーミングのわかりやすさとか棚に並んだときにインパクトあるかと思ったんですけどね。
自信作がいまいちだったことで再考に入ったのですが、もう少し情緒的なものが求められているのかも、と考え直したときに行き着いたのが、日本の古語「あわい」でした。たまたま能楽師の方の手による「あわいの力」という本を読んでいて、ふたつの重なるところ、交わった空間を、あわい(間)と呼ぶことを知りました。調べると、たとえば茶室のお庭も、日常から非日常に切り替わっていくあわいだと。この考え方ってオンタイムとオフタイムをつなぐ、という翻訳ができるんじゃないか。それって良いかも、と思いアルファベットにしました。
-なんだか導かれたようですね、不思議な力に…
ネーミングの決定に至るまでは遠い道のりでした。何十案か考えては却下され、あらためて提出して、を数往復はしたかな。あわいが浮かんだとき、なんとなく見つけた感はあったのですが、当初そんなに推しではありませんでした。ただ客観的な視点でみんなの反応をみたとき、一瞬で「わっ」とテンションが上がったので、いけるなと。
オンタイムからオフタイムに切り替わっていくお風呂で、ゆらぎの時、あわいの時をあじわっていただく。そんな新しいムードペアリングの提案になるかなと思ったんです。
-ものすごく順調な開発プロセスのようですが、つまづきはなかったんですか?
OEMの選定で一度、スケジュール引き直しとなってしまった点ですかね。企画の最初の段階で、まずは自腹であらゆる市販の入浴料を買ってみて、自分がめちゃくちゃいいと思える入浴料を見つけた上でOEM先を探そうと思ったんです。で、ひとつ「これは」というものを見つけてメーカーに問い合わせたら反応もよく、試作品までトントン拍子でした。
にも関わらず二回目の試作品から急にレスポンスが悪くなり、どうしたのかなと思っていたらなんと倒産していたんです。その会社で発注する前提でスケジュールを引いていたので、また一からやり直し、ということに。
-それは青ざめますね…
いま考えるとまだその段階だったからマシだったというか、むしろ持ってるかも(笑)ですが当時は慌てましたね。入浴料選びからやり直しですから。でも、そのあとすぐに「このテクスチャーの良さはすごいな」と思える新たな入浴料が見つかりましたし、その製造会社にお願いすることができたので結果的には良かったんですけどね。
あとは調香でも決めるのが難しかったですね。やはり匂いは人により好みが異なりますし、みなさん感じ方が違うので。ただ多くの人が否定的な匂いは外すようにしたことで、最終的にバランスのいい調香になったし、テクスチャーも理想的なものになりました。
インハウスデザイナーがGunosyの強み
-パッケージデザインもすごくいい感じです
雰囲気が伝わりますよね。最初はあわいの概念がなかなか図にしにくくて、デザインワークが難しいものになってしまいました。どういったプロダクトデザインにするかというオリエンも困難を極めましたし。
ただ、これはGunosyの大きな強みなのですが、インハウスデザイナーがいるんです。脳疲労というコンセプトが決まる段階からデザイナーさんにも入ってもらって、ネーミングも一緒に悩んでもらいました。だからデザインもこれまでの変遷を織り込んだ上での提案をしてくれる。コンセプトシートもデザイナーさんが情報整理をしてくれました。
-それはいいですね!一貫したブランディングができそうです
何案か出してもらった中でチームの意見が一致したのがいまのデザインなんですが、ポイントは家紋っぽいところ。日本らしさ、温故知新というのも「YOU IN」のテーマのひとつですからフィットしたんだと思います。
決定案の前にはマーブルっぽいものやお湯の表面上に浮かぶ泡っぽいイラストなどもあったのですが、丸っぽさや異質な感じ、ムニュっとなっている印象が和を想起させるということでこのデザインに決まった次第です。
-書体もオリジナルですか?
いえ、これは既存のフォントをベースにアレンジを加え、細かいところは調整しています。前職でこのあたりをすべて外注していた際には、オリエンがまず大変でした。更に上がってきたものに修正依頼を出して、また戻して…というディレクションの工数がかかっていたのが、シームレスな状態でデザイン作業に入れるGunosyってすごいです(笑)。
-プロダクトそのものの特徴はどんなところに?
圧倒的なテクスチャーの良さにこだわった点です。クレマ処方という珍しい調合を施しました。クレマとは、エスプレッソコーヒーを淹れた時のいちばん上の泡のこと。微炭酸が発生し、まるでクレマのようにふわふわとした微細な泡がわき立ち、身体をじんわりあたためます。このテクスチャーがオンからオフへの時間の切り替えをゆったりと演出してくれるんですね。
さらにコンセプトを体現する上で重要なのは香りの変遷。粉がお湯に溶ける最初のノートにベルガモット、ミドルノートに煎茶・ジャスミン、そして最後にホワイトムスク。時とともに香りが変わっていく設計です。
万人受けしつつ、きちんと特徴を主張する自信作に仕上がりました。これも「YOU IN」のムードペアリングというコンセプトを表現できたからこそと考えています。
自分の心地よい世界を取り戻すために
-発売開始は10月18日でした。反応はいかがですか?
おかげさまで蔦屋書店の一部店舗で取り扱いが決まったり、お茶のときと同様にギフティさんからも引き合いが来たりとありがたいお話がいくつも来ています。売れ行きも好調で、まずはホッと一息、といいたいのですが、まだまだこれからが本番です。気を引き締めていきます。
-「awai」のバリエーションが増えていくイメージですか?
もちろん「awai」が爆発的ヒットとなればそれもありますが、それよりは「YOU IN」ブランドで新製品をリリースしていく方向性で考えています。どうしてもカテゴリの壁というものがありまして、ひとつのカテゴリ内でお客様を増やすには限界があるのです。それよりももっと幅広く、多くのお客様にムードペアリングというコンセプトを知ってもらいたい。
そのためにはライフスタイルの中でまた異なる場面に刺さるアイテムをつくっていったほうがいいと考えています。実はもう新製品に向けて動き出してます。
-ものすごく期待が高まりますが、それはなんですか!?
それは秘密です(笑)。というよりまだ発表できる段階ではないのでお楽しみにしていていただければ、と思います。
さらに今後は、ムードペアリングというコンセプトに共感してもらえる方、お客様を喜ばせることに執着できる方に、ぜひチームへ参画いただき、一緒にYOU INというブランドを育てて欲しいと思っています。
ウェルネスの意味って広く使われていますが、フィジカルだけでなくメンタルまで含めて健やかな状態でいられることは人間の本質的な幸福だと思います。その状態に自分を持っていきたい、自分自身をコントロールしたいと思っている人が多いんですよね。
-そのきっかけとしての第一弾がお茶だったと
そうです。自分の心や体を取り戻すのは難しいですが、何かきっかけがあれば健やかな状態に持っていける。それがこれまではお茶だったのですが、これからは「YOU IN」のさまざまなプロダクトやブランドを介してユーザーの皆様に自分の心地よい世界を手にしていただきたい。私たちは今後もそんな時間を提供していきたいな、と思っています。
-ありがとうございました!新製品も楽しみにしています!
【Profile】新規事業開発室 菊池さん
自然派スキンケアブランドにて10年以上にわたり単品通販の顧客獲得から育成、PR、ブランディングまで幅広く手掛けてきた。近年では塩のマーケティングも担当し、製品企画~EC通販、出店までを経験。Gunosyには「YOU IN」のプロダクトコンセプトに惹かれて入社。2022年4月より現職として絶賛活躍中。
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