ニュースアプリに掲載される広告を「法令」と「ユーザー体験」の両面からチェックする広告審査。チーム立ち上げ期を経て、DX化やマネジメントにも挑む玉木さんに、仕事のリアルを聞きました。

広告審査が専任チームとして独立した背景と歩み
― Gunosyへ入社前から現在までのご経歴を教えてください。
入社前は、個人宅への訪問営業を1年未満ほど経験しました。その後、Gunosyに入社して、当時は営業企画のチームに所属していました。その業務の一つとして広告審査があり、最初は“いろんな業務のうちの一つ”という位置づけでした。そこから、今は広告審査がメイン業務になっています。
― どのタイミングで広告審査が専任になったのですか?
広告に対する社会的な目線がより厳しくなり、社内でも審査体制を強化しようという動きがあった中で「営業と切り分けて、より中立的に判断できる体制にしよう」となったのがきっかけです。それまで兼務だった広告審査が法務部の専任チームとして独立し、今の体制が整いました。
― 広告審査の仕事内容を、改めて教えてください。
グノシーなどのサービスに掲載される広告を、配信前に審査しています。美容・健康食品などは法令上のルールがあり、表現が適切かをチェックします。加えて、ユーザーが不快に感じないかといった、自社ガイドラインの観点でも確認します。問題がなければ承認し、ユーザーの目に届く広告として配信されます。
仕事内容自体は年数を重ねても大筋は変わらないですが、扱う商材の流れは変化していて、たとえば機能性表示食品が増えるなどがあります。商材によって「ここは言っていい/ここはダメ」が細かく変わるので、そこは常に判断が必要です。

正解のない領域に独学で挑んだ審査体制ゼロからの構築
― これまでに印象に残っている経験はありますか?
やはり、広告審査を独立させようと体制を見直したタイミングは印象に残っています。それまで兼務だった審査を、会社としてきちんと強化していこうという流れになり、本格的に専門知識を学ぼうと思ったのもその頃でした。特に薬機法などの知識を改めて勉強し直し「守る」ことを前提とした審査体制を整えていきました。今の運用や基準のベースになっているのは、あの時期の取り組みだと思っています。
― 専門知識はどのように身につけてきたのですか?
基本は独学でした。セミナーに参加したり、知識の強いメンバーに相談したりしながら学びました。最近は、チームで「薬事法管理者資格(民間資格)」の取得に挑戦するなど、関連する薬機法を体系的に学ぶ取り組みもしています。

迷ったときに立ち返る「ユーザー目線」という揺るぎない軸
― 広告審査ならではの難しさは何ですか?
不快感の判断は、どうしても主観が入りますし人によって受け取り方が違うので、正解がありません。グノシーのユーザー体験を損なわない広告体験を実現できるよう審査を行うということを心がけてますが、実際の判断は難しいです。
例えば、爬虫類などが使われている画像は、人によっては全然問題がない一方で、不快感を覚える方もいるなど、さまざまな事例があります。そうした場合は、「総合的に見てどうか」という視点で、難しい判断が求められます。
また、現在の広告審査チームは女性が多いため、自分たちだけでは気付けない視点の偏りが出てしまうこともあると感じています。そうしたときは男性メンバーの意見を聞くなど、できるだけ一方向にならないように意識しています。昨今、世の中で問題提起もなされた性的表現についても厳しく判断をしており「自分の子どもに見せられるか?」といった直観的な感覚も大切にしながら、組織として多角的な視点でバランスを取るように心掛けています。
― 最終判断は誰が?
一度落としたものの再交渉は、最終判断を私が受けるようにしています。「厳しすぎたのか?」「不快感という理由で落としたものについては審査担当者の個人的感覚に依拠しすぎていないか?」でも性質が違うので、後者は特に慎重に見ます。前者の場合は、チーム内で「今後はOKにしてよい」など認識を更新していきます。

個人の記憶に頼らず、テクノロジーで進化する審査の最前線
― チーム内ではどのようなDX化を進めていますか?
大きく3つあります。
1つ目が、NGワード/要注意ワードを登録して、該当箇所を自動でハイライトする仕組みです。
2つ目が、NG画像/OK画像を登録し、完全一致したものを検知する仕組みです。
3つ目が、LP(広告の遷移先ページ)もキャプチャをとり、同様にワードを拾ったり、コメントを書き込み出来るようにする仕組みです。
導入後の効果として、ハイライト機能は見落としが圧倒的に減りました。画像も、これまでは個人の記憶ベースで判断していたものが、登録によりブレなく運用できるようになりました。LPについても、同一ページなら「OKフラグ」で再チェックの手間を大きく減らせています。
不安を越えて挑戦したマネージャー就任と会社の伴走
― マネージャーになった経緯を教えてください。
法務部の部長が広告審査を兼務する体制になった頃、打診をもらいました。正直、最初は自分に務まるのか不安もあり消極的でした。ただ、いきなりピープルマネジメントではなく、業務管理から段階的にステップアップできる形を用意してもらい、挑戦してみることにしました。
― チームづくりで大切にしていることは何ですか?
判断に悩むことが多い仕事なので、まずは気軽に質問し合える空気作りを意識しています。属人化しやすい領域だからこそ、迷ったら聞く、判断を蓄積する、定期的にすり合わせる、をチームで徹底しています。

今の環境だからこそ実現できる、これからの広告審査チームの形
― 現在はフルリモートで勤務されていますが、働く環境を踏まえて意識されていることはありますか?
プライベートな事情をきっかけに実家へ戻り、そのまま地元(福島)でフルリモートで働く選択をしました。文章ベースのコミュニケーションが増えたので、読み手がどう受け取るかを以前より意識するようになりました。対面なら表情で伝わる温度感が、テキストだと伝わりづらいので、そこは配慮しています。また、メンバーとは隔週で1on1をして、業務以外でも会話する機会をつくっています。
― 入社11年目。玉木さんが長く働き続けられている理由は何だと思いますか?
一番は、人が良いところだと思います。きちんと話を聞いてくれる人が多く、意見が対立しうる場面でも強い言葉になりにくい。成長がゆっくりなタイプの自分でも、焦らず長い目で見てくれる人がいるのは働きやすさにつながっています。
女性という視点で見ると、リモートワークができる環境は大きいと感じます。また、子どもの体調不良など家庭の事情がある社員に対しても「家庭を優先していいよ」という声が自然に出てくる空気があります。実際にそうした場面を見ていても、周囲が当たり前のようにフォローし合っている印象があります。その雰囲気があるからこそ、ライフステージが変わっても働き続けやすい環境だと思います。
― 今後、広告審査チームとして挑戦したいことは?
AI技術が進んでいく中で、もっと自動化できる余地があると思っています。理想は、最終ジャッジは人の目で行いつつ、それまでの判定やコメント出しはAIで支援する形です。人が見るのは最後の1回だけ、という世界観に近づけていけたらと考えています。

【profile】玉木さん コーポレート本部 法務部 広告審査チーム
2015年4月に中途入社。営業企画を経て、広告審査チームの専任化とともに現部署へ。現在はマネージャーとして審査業務とチーム運営を担う。福島在住、フルリモートで勤務。
※撮影場所:WeWork 渋谷スクランブルスクエア
