こんにちは、採用広報の市村です。本日9月6日、Gunosy創業者で、現在は同社取締役 ファウンダーである福島の、自身初となる著書『センスのいらない経営』が総合法令出版より出版されました。本書は、起業からこれまで、福島がGunosyの経営を通して積み重ねてきた思考と実践経験のエッセンスが凝縮された一冊となっています。起業当初から変わらない「情報を世界中の人に最適に届ける」という理念とテクノロジーにかけるという基軸が、どのようにプロダクトや組織を成長させ、福島良典という一人の大学院生を経営者へ転身させたのか、余すことなくお伝えしています。また、8月にはGunosyの代表を離れ、ブロックチェーン領域の子会社「LayerX」を立上げ、代表取締役社長に就任しましたが、その経緯や理由、今後の展望についても触れています。今回のGunosiruでは、出版にあたり著者である福島のメッセージをお送りします。

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私が経営や起業に興味を持つようになったのは、主にGoogleについて書かれている「ウェブ進化論」という本を読んだことがきっかけでした。

そこには普通の大学生かつエンジニアであった人が世界を大きく変えようとしているという事実、また皆が見ている表側のGoogle検索エンジンと、裏側で動いている仕組みは全く異なるという、ティム・オライリーが提唱したWeb2.0という概念について言及されており、当時学生だった私に多大な影響を与えました。

日本はエンジニアや技術者が経営者になるケースは決して多くない環境である一方、米国等をみると、多くのエンジニアがプロダクトをつくり、さらには経営者として進化しています。この本と出会って、私もこういう働きかたがしたい、こういう道に進みたいと考えるようになりました。

そのとき自分が思い描いていた経営者像というものに、ある程度は近づいているのではないかと思います。いまは、世の中が技術や良いプロダクトを求めており、ものがあふれて、豪胆に何かを意思決定するのではなく、世の中に役立つ技術や、「本当に良いもの」を求めて、それをつくるために集中する方が経営者に向いている時代なのではないかと捉えています。

この本を書いた目的のひとつに、Gunosyという会社の本質を知ってもらいたいという理由があります。これは、新卒採用を始めてから強く実感するようになりましたが、大量に流しているテレビCMのイメージの影響もあり、Gunosyは「ニュースアプリの会社」という印象を強くもたれています。しかし、Gunosyはテクノロジーの会社であり、「グノシー」以外にも様々なサービスや広告事業を展開しており、今後はブロックチェーン等を含めた新規事業にも取り組んでいく予定です。そういった、本質的な全体像を周知すべきだと考えました。

また、GunosyではひたすらKPI経営を突き詰めてきたので、それを振り返りたいという思いもありました。良い部分も悪い部分も、今であれば見えるものもあります。本書ではその集大成の話をしていますが、今の経営スタイルがゴールではなく、当然これからもブラッシュアップし、私自身も進化し続けていきたいし、そういう人間が活躍できる世の中であると思います。そのような文脈で、現在のグローバルなスタンダード、かつ日本における未来のスタンダードな経営スタイルを、本書でひとつ提示できたのではないかと思います。前者は会社的な、後者は個人的な思考の整理といった理由です。

執筆する中で特にお伝えしたかったことは、「エンジニア的思考」を持つことの重要性です。仮にビジネスではなくとも、個人的に何か世の中に大きなコミットをしたいと考えたとき、テクノロジーを活用しない人は前時代的であると思います。

しかし、どのようにテクノロジーを使い、「エンジニア的思考」をどう経営に活かしていくのか?ということについて提言されているものは、私が知る限り世の中にほぼ存在していません。今回はそれを文中に落とすということを意識しました。

実は、「エンジニア的思考」と経営はリンクする部分が多くあるのです。

理系の人はビジネスに対して食わず嫌いな人が多い傾向にありますが、本当は、理系文系関係なく、せっかくなら自分がつくったものや、人生で多くの時間を投資している仕事が人に好かれ、広く使ってもらえる方が良く、ビジネスとして面白いはずです。どうしたら自分の仕事が世の中にインパクトを与え、より良い未来への貢献ができるだろうかと考える。経営とは、突き詰めるとそういう話だと思います。
逆にビジネスマンの視点でいうと、テクノロジーに対する勘違いや妄想が少なからずあり、銀の弾丸のように扱ってしまうこともあると思います。
テクノロジーが生まれたばかりの黎明期は、とにかく応用範囲が狭く、その針の穴を通すような応用例を見つけることは非常に難しい。しかし、それを見つけることがビジネスとして最も重要なのです。それを広げることができれば、どのようなものにも活用することができ、そこからは、情報やお金、優秀な人材が流入してくる見晴らしいの良い「ずるい場所」にどういるかを考え、そこにポジショニングできれば、その分野で強くなることは間違いありません。

日本は、世界でもTOP3の経済規模を誇り教育水準も高いので、あとは英語や中国語、上述したようなリテラシーが向上すれば、エンジニアリングの知識も備えつつ、ビジネスマンとしても世界を飛び回るような人が台頭し、国内からもっと世界で戦えるサービスや事業が生まれる可能性は大いにあります。

特に、いまは何かの交差点に立てる人に非常に価値があります。

本書の中でより詳しくお伝えしていますが、一つの専門性しか持ち合わせていないということには脆弱性があり、今後、最も機械に代替されやすくなるでしょう。何かを組み合わせることが重要で、たとえばブロックチェーン×法律に知見があるといったような人は、中々代替されにくいと思います。そうった、何かの交差点に立つことを志す人が、少しでも本書を通して増えるきっかけとなれば嬉しく思います。

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終わりに、私はGoogleを尊敬しているのですが、いまGoogleが何をやっているかというと、Alphabetという会社になって、AからZまで、α(その人にしか出せない価値)にベットする(賭ける)ぞと、本当に幅広く様々な事業に挑戦しようとしています。

Gunosyも、これから色々なことに挑戦していくという意志を示している中で、我々がこれからやらなければならないことは何だろうと考えると、必然的に誰かが先陣を切って新しい畑を耕しにいかなければいけない、ということに行き着きます。そしてそれをやるのは私しかいないだろうと、LayerXを立ち上げました。今後Gunosyのメンバーにもそうなってほしいと思っています。Gunosyはひとつの、大きなAlphabetのような、文化の枠でしかありません。今回の本に私の考えや思いを詰め込んだので、メンバー全員に読んでほしいし、「これがGunosyの文化だ」と、伝えられたら嬉しいです。

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本書を出版するにあたりご協力いただいた関係者の皆様、私の話は専門用語が多く、解釈が難しい部分も多かったと思いますが、皆様にご尽力いただいたおかげで、素晴らしい一冊となりました。改めて御礼申し上げます。

福島良典

投稿者 gunosiru

株式会社Gunosyの人事部、広報、役員秘書、ライターから編成されたGUNOSIRU制作チームです。