こんにちは、広報の鈴木です。
今回は2023年5月30日、早稲田大学田中穂積記念教室にて行なわれた大川ドリーム基金寄附講座に当社代表取締役社長の竹谷祐哉さんが登壇した模様をレポートいたします。
過去の竹谷さん登壇記事はこちら
新経済連盟主催 国会議員向け「最先端ビジネスセミナー」登壇レポート
もともと竹谷さんの母校でもある早稲田大学ですが、今回は新経済連盟における若手取りまとめ役としての活躍や、政府政策に関する実質的活動の面から注目されている経営者として招聘されました。
会場となった早稲田大学田中穂積記念教室には50名を超える聴講生が参加。熱心に耳を傾けるとともに非常に多くの質疑が寄せられました。その積極的な姿勢からも聴講生が竹谷さんのお話に心動かされていることが伝わってきます。
講義はまず、竹谷さんのこれまでの人生を振り返るところからスタート。幼少期から多感な中高生、さらに現在の竹谷さんにつながる大学生時代の過ごし方、考えていたこと、自己認知ポイントを振り返ります。
特に印象的だったのは中高時代の自己認知ポイント。竹谷さんはこの時期に「特別な才能があるわけではない、なにか上に行きたいなら圧倒的な努力か、人と違うやり方をしないと人生きついな」と認識したそうです。この気づきは非常に重要で、のちの経営にも繋がっているとのこと。
また大学生の頃はアルバイトやベンチャーでのインターンを通じていろんな人種と接することで、どんなジャンルの人とも上手くやれる力が付いたそうです。この時期の経験は竹谷さんを人として強くしてくれた、と振り返ります。
続いて就活と社会人になってからのエピソード。就活中の自己認知も竹谷さんらしく「みんなと同じスタートラインで決まったルールを競うのは向いていない」と思ったそうです。その前提で見つけたのがIT業界。自分でも勝てそうで、なおかつ成り上がった事例をたくさん目にしたことで、グリーへの就職を決めます。
「どこで一生懸命頑張るか、という視点での見極める力は優れていた気がする」と竹谷さん。急成長中のグリーで感じたのは「こういう会社の初期メンバーになりたい」ということでした。そんなとき運命的な出会いをします。現Gunosy代表取締役会長の木村さんです。そして入社から1年で木村さんとともに創業初期のGunosyに参画することになります。
そこからのストーリーはGunosyのみなさんならご存知かと思います。設立2年半で上場し、会社の成長に貢献した竹谷さんは25歳で取締役に。途中から代表となり、紆余曲折を経て2023年で11年目を迎えました。その過程では利己的だった働く理由が利他的に変わっていったと言います。
こうした人生の振り返りを通じて、今回の講座で竹谷さんが伝えたかったことは4つ。
1.逆算して考える
2.人はやり方次第で何者にでもなれる
3.自分ならではの独自のキャリア戦略をイメージする
4.時間というリソース投資に対して何を得たのか意識的に生きてみる
ひとつひとつに竹谷さんの人生の節目で認識した学びや経験値が込められています。それだけに説得力も抜群。聴講生も特に真剣に耳を傾けていました。
講義は次のテーマ「今後の社会を生きていく上で」に移ります。
竹谷さんは今後は生きていくのがとてもむずかしい時代になる、控えめにいってスーパーハードモードだと言います。人口減と高齢化、AIの台頭による効率化と雇用減少。これらを非常に深刻な問題と捉えているとのこと。
既に日本および世界は静かなる混乱の世界に片足を踏み入れているとし、それでも乱世の時こそ時代は大きく動くのでポジティブに捉えるとすごくいい時代でもある、と言及。普通に生きるハードルは高くなったが一方で技術によって自由に生きる選択肢は増えたので、最後は人にしかできない本質的な価値向上を行える人材になるべきだと結論づけました。
「人生、最後は意志と覚悟でいかようにもなるので、ぜひ混沌を楽しみながらがんばってください」がんばればなんとかなり、がんばらないと人生はきつい、ということを一番伝えたかったと語り、講義を終えました。
その後、質疑応答の時間になりますが、非常に多くの質問があがりました。ここではその一部を抜粋・編集してお届けします。
Q:大学生の頃やグリー在籍中の木村さんなど、周囲の人との出会いがご自身の付加価値を高めているようですが、何か意識していることはありますか?
竹谷:結構大事なポイントですけど、すごい人と喋りたいという気持ちが湧きますよね。でもすごい人はすごくない人と喋る理由がないわけです。その関係性の中で「こいつ面白いな」と思われるには、いろんな人を紹介したり、いろんな楽しい情報を知っていること。要は相手が欲しいものが何かを見極めてそれを提供する。きちんとテイクを見込んだ上でまずはギブから始めることです。
Q:Gunosyに参加して取締役になったあたりから、利己から利他に変わったとおっしゃいました。すごく印象に残っています。
竹谷:まず衣食住で不自由がなくなりました。余裕が生まれ、コミュニティの中での役割や自分がここにいる理由などを考えるようになると責任感が芽生えてくるんですね。たとえば自分が採用に関わった人にきちんとリターンを出せているか。幸せになってもらいたい、という感情ですね。そう思える範囲がどんどん大きくなっていくイメージですね。家族、社員、取引先、株主…といった感じです。
Q:AIで先々の雇用が心配です。若いうちにやっておくといいことはなんですか?
竹谷:手段や最適化作業は機械に置き換えられます。そうなると人間に残されるのは意志だけ。だから意志を磨く作業は欠かせないと思います。もうひとつ、ツールを使いこなすことであらゆる手段を持つこと。この2パターンじゃないでしょうか。やはり熱量とか熱狂とか、臨場感はAIには無理ですから。何かしたい、こういう物を作りたいという意志と、それを実現する手段を持つことだと思います。
Q:意志や覚悟が大事とのことですが、竹谷さんが覚悟を持つために心がけていることは?
竹谷:覚悟を持てると思うことしかやらない。そして退路を断つことですかね。そのためには多くの人を巻き込むのが一番です。失敗したとき2,3人ならごめんで済みます。でも株主1万人だと全員にごめんと言ってまわるのは難しい。ああ、ごめんという選択肢なくなったな、と前に進んでいくしかなくなる。もともとそんなに強い人間じゃなくて、こうなりたくないとか恐怖が原動力なんです。
Q:先行きが見えづらい中でAIとかも使いこなしつつ就活をしています。何かアドバイスを
竹谷:30歳の時にどうなっていたいか。そこから逆算することが大事だと思います。戦略的にどう階段を登っていくか。AIが使えるならたとえば20代前半で荒稼ぎする選択肢とかも充分ありえますよね。だけどそのまま30歳を迎えると品性のない30歳になってしまう。それは短期的に何かを得られても長期的に大切なものが掴みにくい人生の選択かもしれません。
長いキャリアの中で自分のブランドをどのように構築していくか考えるべきですね。大企業で通用したいなら組織づくりや人の上に立つ能力も養わないといけないですし。なりたい自分といまの自分のギャップを考えること。どういうものが好きか嫌いか、何が美しくて何が醜いと捉えるか。美学みたいなものも大事ですね。論点はそのあたりにあると思います。
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受講した学生さんからは後日沢山の感想が寄せられました。
その中で一部コメントを抜粋させていただきます。
Mさん:竹谷さん自身の話とそこからくる教訓がとても響きました。選択肢が増えていく人生を送るために時間のリソース投資を意識すること、人生を逆算して考えること、独自のキャリア戦略をイメージして駆け上がること、面白い人に近づくために自身に付加価値を付けること、自己分析のヒントを幼少期からつかむこと、など経営に限らず人生設計を行う上でとてもためになる教訓を沢山頂くことができました。
Lさん:自分ならではの独自のキャリア戦略をイメージするというのは、就職活動をちょうど始めたくらいの自分にすごく響く言葉でした。「自分の今研究していることを中心に就職するのが順当だな」と思う自分と「果たして今やっていることを一生やって楽しいのか、まったく別分野 に就職したほうがいいのではないか」と思う自分がいましたが、今日の話を聞いて後者を選択したほうがいいのではないかと思いました。
Iさん:AIが発達していく中で、最近「人間に残るものはなんだろう?」と考えることが多かったので、竹谷さんの「最後に残るのは意思である」という言葉に心動かされました。
ツールをツールとして上手く使い、作業よりも意思と覚悟を磨くことに時間を使っていきたいです。
他にもたくさんの質問が聴講生だけでなく教授陣からも飛び交った2時間弱。竹谷さんのお話が誰かの考えや行動を前向きに変えるきっかけになるといいなと思いました。
Gunosyではこれからも産学の垣根を超えた取り組みや寄附講座、支援活動を続けてまいります。